洋服を長く大切に着たい」という意識から、近年注目されているのが水洗い洗濯。なぜ、水洗いが洋服を長持ちさせるの? そもそも、ドライクリーニングと何が違うの? そんな洗濯に関する素朴な疑問に専門家がアンサー。
石油系有機溶剤を一切使用しない、水洗いクリーニング専門のクリーニング店「Licue(リクエ)の責任者。クリーニング業界約30年のベテランで、高知県に本山を構えるシミ抜きの流派 不入流(いらずりゅう)に学ぶシミ抜きやテーラードプレスのプロフェッショナル。アパレルブランドや芸能界からの支持も厚く、全国各地でさまざまな講演を行う。
モンクレール - 玉川高島屋S・C 

ドライクリーニング=水を使わない洗濯法のこと。主に石油系の有機溶剤を使って、油性の汚れを溶かし出して洗浄するのがドライクリーニングです。有機溶剤の中に衣類を投入し、ペーパーフィルターと活性炭でろ過しながら、グルグルと循環させて洗うのが一般的。
水洗いと違って、型崩れや生地の縮み、色落ちが少ない、油汚れがよく落ちるというメリットもありますが、そもそもドライクリーニングは溶剤を入れ替えずフィルターで汚れをろ過するだけなので、何度も使い回した汚れた溶剤を繰り返し使うことで、かえって汚れや匂いが付着してしまうことも。また、天然素材の表面にもともとある天然の油成分までも落としてしまうので、衣類がカサカサになって寿命が短くなるというデメリットもあります。もちろん、間違った方法で水洗いをすると、型崩れや生地のフェルト化などでより寿命を縮めてしまう可能性もあります。ドライクリーニングのメリット、デメリットを理解して、素材や汚れの種類に合った洗濯法を選択してください
ヨーロッパでは、なかなか見かけることのないドライクリーニング店。日本にはこんなに浸透しているのに、なぜ?

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エコロジー意識が高いヨーロッパでは、お湯洗いが主流。ドライクリーニングで使用する有機溶剤には、光化学オキシダントや発がん性物質が含まれています。また、廃液ヘドロは産業廃棄物となり、燃やすことで大気汚染や土壌汚染の原因に。さらに乾燥工程で重油やガス等の化石燃料を大量使用するなど、環境負荷が大きい点が社会問題になっています。汚れが落ちやすいお湯を使って家で洗濯をする文化が浸透しているヨーロッパでは、汚れの種類に合わせて実にさまざまな洗剤が普及しています。何でもかんでもドライクリーニングに出すのではなく、必要に応じて使い分けることが、今の時代に求められている洗濯観だと思います